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健康管理士 杉本卓也(スギタク) の健康情報

健康情報 > 病気・症状別 > 骨粗鬆症
 
骨太でいられる方法とは

 アメリカでは骨粗鬆症による骨折が毎年150万件以上発生する。脊椎骨や前腕、手首、股関節の骨折が多い。骨を折れば背中が曲がり、股関節部を骨折すれば歩けなくなったり、死に至ったりする。
 全米女性保護評議会の評議員ルース・S・ジャコボウィッツ博士は、「若いことから栄養をとって運動するだけで予防できる。高齢の女性でも、骨密度を高めることができる」と語っている。

骨に"借り"をつくらない方法

 骨は、成長期を過ぎたあとも古い骨を壊して新しい骨をつくるプロセス(リモデリング)を続けている。20〜30歳までは、骨の収支はとんとんか黒字の状態がつづくが、30歳を過ぎるころから、男女とも赤字が出始める。女性は、閉経を迎えるとリモデリングを調整していたエストロゲンがつくられなくなるため、多量の骨が失われ始め、閉経後の5〜7年間で骨の2〜5%が失われる。骨粗鬆症が女性に特に多いのはこのためである。
 聖ヨセフ病院メイン骨粗鬆症研究教育センター所長クリフォード・ローゼン医博は、「女性は、成長期に密度の高い骨をつくっておき、最高の状態を維持することが大切だ。カルシウムをとり、十分な運動をすれば骨密度は上がる」と語っている。骨密度は20代半ばまでに決定されるので、骨密度を高める努力は早くから始めるほといい。
 30歳を超えた人も諦めることはありません。カルシウムをとって運動すれば、30〜40歳代の骨の喪失を防ぐことができる。「骨の喪失速度を遅らせれば、ピーク時の骨密度がたとえ低くても骨粗鬆症は予防できる」とローゼン博士は言っている。
 骨粗鬆症の予防と治療には、男女問わず健全な食生活が大切だと専門家はいう。カルシウムだけでなく、ビタミンDやホウ素、マグネシウム、フッ素、マンガン、銅、亜鉛、ビタミンKも良質な骨をつくることがわかっている 。

牛乳が骨をつくる


 牛乳の豊富なカルシウムは、強く健康な骨をつくるうえで欠かせない。体内のカルシウムの99%までが骨にあり、そして心臓の拍動、神経や筋肉の機能、血液凝固に欠かせないので、カルシウムの血中濃度は一定に保たれている。不足すれば、骨を壊してでもカルシウムを調達する。
 カルフォルニア大学サンディエゴ校生物学教授ポール・サルトマン博士は、「骨に十分なカルシウムを蓄えておくには、10代のころからサプリメントをとり、よい食生活を送って、毎日1200〜1500mgのカルシウムを確保しておくこたが大事だ。」と言っている。
 カルフォルニア大学サンディエゴ校では、60〜79歳の女性581名を対象に若いころの食事内容を調べたところ、若い頃に牛乳を毎日グラス1杯以上飲んでいた人の骨密度は牛乳を飲んでいなかった人より高く、前腕中央部(3〜4%)、脊椎(5%)と股関節の骨密度に差がみられた。20〜50歳の成人を対象とした同様の調査でも、股関節(4%)と脊椎(7%)の骨密度の差がみられた。
 骨粗鬆症の治療にもカルシウムが力を発揮する。ニューヨーク州ウィンスロップ大学病院の研究では、閉経後の女性188名を3群に分けてカルシウム1700mg、カルシウム1700mgとエストロゲンとプロゲステロンの組み合わせ、またはプラセボ(偽薬)のいずれかを3年間投与した。成績は、カルシウムとホルモンを併用した女性が最もよかったが、カルシウムだけでも効果があった。大腿骨の骨密度は、プラセボをとった女性では1年に2%減少したが、カルシウムをとった女性は1年に0.8%の減少にとどまった。
 「牛乳にも問題はある。乳製品のカルシウムは吸収されにくいうえ、乳製品を消化できない体質の人も多い」とワシントンD.C.にある「責任ある治療を行う医師の会」の会長ニール・バーナード医博は言っている。博士は、牛乳のかわりに、豆やブロッコリーからカルシウムを摂るようすすめている。ケールや豆腐、さつまいもにもカルシウムが多く含まれる。
 カルシウムの1日所要量は1000mgだが、米国立衛生研究所(NIH)は、次の量をとるようすすめている。

成人男性(25〜65歳) :1000mg
成人女性(25〜50歳) :1000mg
妊娠・授乳婦 :1200〜1500mg
エストロゲンを使用中の更年期女性(51〜65歳) :1000mg
エストロゲンを使用していない更年期女性(51〜65歳) :1500mg
65歳以上の男女 :1500mg

 食事でこの量を確保できない人が多いため、500〜1200mgのカルシウムをサプリメントでとるようすすめる医師が多い。

日光を浴びてビタミンDをつくる

 体がカルシウムを吸収していい骨をつくるためには、ビタミンDが必要となってくる。ビタミンDは食品からとれるほか、日光を浴びた皮膚でもつくられる。ビタミンDが欠乏すると骨軟化症が起こる。
 ビタミンDは、骨粗鬆症の治療に有用で、フィンランドで行われた研究では、341名の高齢者(主に75歳以上の女性)にビタミンDの注射を毎年1回づつ5年間つづけて行ったところ、注射をしなかった458名よりも骨折の発生数が少なかった。
 ボストン大学総合臨床センター所長マイケル・F・ホリック医博は、「ボストンとヨーロッパで行われた研究では、大腿骨を骨折した高齢の男女の40%までがビタミンDを不足させていた」と言っている。
 ホリック医博は、「皮膚がビタミンDをつくる能力は年をとると衰える」という。緯度の高い地域では、冬にはビタミンDがつくられない。夏でも、直射日光をうけなければビタミンDはつくられない。8SPF以上の日焼け止めを使えばビタミンDがつくられる量が落ちることや、服を着ていると皮膚ではビタミンDはまったくつくられないなどがある。
 栄養強化牛乳は手軽なビタミンDの供給源だが、問題ある。「牛乳にビタミンDを添加する手順はむずかしい。表示どおりのビタミンDを含む牛乳は、調査した製品の30%だけだった。スキムミルクでは、この率がもっとも低い」とホリック医博は言っている。
 ビタミンDは多量に摂取すると毒性の症状が出る。1日600IU以上のサプリメントをとってはならない。マルチビタミン・ミネラルのサプリメントの多くは適切な量のビタミンDが配合されている。「400IUのビタミンDを含むマルチビタミン・ミネラルのサプリメントをとれば、成人の所要量のビタミンDを確保できる」とホリック医博は言っている。

カルシウム濃度を調節するマグネシウム

 マグネシウムは骨の健康にも欠かせない。マグネシウムは、カルシウムが骨の中に入るように働きかけ、体内のビタミンDを活性体に転換する働きを持ち、体内にあるマグネシウムの約半分は骨にある。
 マグネシウムは骨粗鬆症の治療に役立つ。イスラエルで行われた研究では、骨粗鬆症がみられる閉経後の女性患者31名にマグネシウムのサプリメント250〜750mgを6ヶ月間投与したあとに250mgを18ヶ月間投与したところ、22人で骨密度が1〜8%上がり、5人で骨が喪失する速度が落ちた。逆にマグネシウムをとらなかった女性の骨密度は大きく減少した。
 マグネシウムの所要量は400mgで、十分な量のマグネシウムを摂取していない人が多いため、1日に200〜400mgずつマグネシウムのサプリメントを摂取することがすすめられている(ただし、心臓または腎臓に問題のある人は、マグネシウムのサプリメントをとる前に医師に相談すること)。

ホウ素がカルシウムの流出を止める

 ホウ素は、カルシウムとマグネシウムが尿といっしょに捨てられるのを防ぎ、骨粗鬆症を予防するのではないかと考えられている。
 米国農務省グランドフォークス人類栄養学研究センター、カーティス・ハント博士らは閉経後の女性12人を対象とした研究を行い、ホウ素の少ない食事をとったとき、1日3mgのホウ素をサプリメントで投与したときのカルシウムとマグネシウムの尿中排泄を比較したところ、わずかながら差がみられた。
 ハント博士は、「ホウ素はカルシウムとマグネシウムの尿中排泄をわずかに防ぐほか、エストロゲンとテストステロンの合成を促すことがわかっている」といい、「ホウ素の豊富な食事をとることは大切だ。ホウ素は骨とミネラルの代謝に影響を及ぼすことが動物実験などで認められている。」とも言っている。

フッ素は骨にも効く


 虫歯を防ぐことで知られているフッ素イオンには、骨をつくる能力もあると考える研究者もいる
 テキサス大学サウスウエスタン医療センター、カシャヤル・サハエ医博は、閉経後の女性48人に25mgのフッ素イオンの除放剤とお800mgのカルシウム(クエン酸カルシウム)を1日2回投与した。サプリメントを12ヶ月間投与したあとにフッ素イオンを投与しない時期を2ヶ月間おくというスケジュールで3年以上にわたる研究を行ったところ、「30ヶ月間の脊椎骨折の発生率が70%減少したほか、3年間連続して椎骨の骨密度がほぼ毎年5%ずつ上昇した」という。

亜鉛・銅・マンガンが協力して骨を強くする

 骨粗鬆症と亜鉛、銅、マンガンとの関連は古くから研究されており、どれかが欠けると骨に悪影響があることがわかっている。
 カルフォルニア大学サンディエゴ校では、亜鉛、銅、マンガンを併用する研究が行われ、閉経後の女性59人に1000mgのカルシウムを投与すると、脊椎骨からミネラルが失われる速度が落ちた。カルシウムに亜鉛15mg、銅2.5mg、マンガン5mgを併用したところ、被験者の骨からミネラルが全く失われなくなった。
 試験を行ったサルトマン博士は、「亜鉛、銅、マンガンの所要量が配合されているマルチビタミン・ミネラルのサプリメントと、カルシウムのサプリメントをとれば、高い効果が出る」といっている。
 亜鉛の所要量は15mg、銅とマンガンは2mgで、亜鉛をとりすぎると銅の吸収が阻害されるので、亜鉛と銅のバランスに気をつけよう。

骨を守るビタミンK

 ビタミンKは骨の形成に重要な役割を果たす。ビタミンK不足の発生はまれだが、骨粗鬆症の一因になるかもしれない。
 アメリカホリスティック医学会前会長アラン・R・ゲイビー医博は、「研究の結果、骨粗鬆症患者の血中ビタミンK濃度は低かった。」と言っている。ケイビー博士はビタミンK不足の人はかなりいると考えており、「抗生物質を乱用する現代人では、ビタミンKをつくる腸内細菌が減っていると考えられる」と述べている。
 オランダで行われた研究では、ビタミンKはカルシウムを体内にとどめる働きがあることが認められた。閉経後の女性70人に1日1mgのビタミンKを3ヶ月投与したところ、尿中に排泄されるカルシウム量が減った。
 ビタミンKの所要量は80μgで、食事から簡単に摂取できる。サプリメントで摂取するなら1日100μgが上限だとケイビー博士はいう。また、医師の判断で多量のビタミンKが用いられることもある。

マルチビタミン・ミネラルで念入りに

 ビタミンC、ビタミンB6、葉酸にも骨粗鬆症に有効だという研究者もいる。骨粗鬆症はこれらのビタミンをすすめる専門家はいなが、念のためマルチビタミン・ミネラルのサプリメントをとっておくとよいという専門家が多い。サルトマン博士は、「マルチビタミン・ミネラルのサプリメントは、カルシウムのサプリメントに悪影響を及ぼすこともなく、必須ミネラル・ビタミンの所要量を簡単に確保できるので有用だ」と述べている。

ビタミン・ミネラル目標摂取量

栄養素 目標摂取量
ホウ素 3mg
カルシウム(Ca) 1200〜1500mg
銅(Cu) 2mg
フッ素 10mg以内
マグネシウム(Mg) 200〜400mg
マンガン(Mn) 5mg
ビタミンD(カルシフェロール) 400IU
ビタミンK 100μg以内
亜鉛(Zn) 15mg
 
 
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