健康とは何か


健康と長生きは昔から多くの人の願いであった。近年、日本の平均寿命は大幅な伸びを示し、世界一の長寿大国となった。数字の上では世界最高水準の健康が得られることになる。しかし、本当に健康で長生きできているだろうか?

  • 寝たきり老人・痴呆の老人の増加
  • 若年層・子供の生活習慣病増加
  • 環境汚染
  • 過労死
  • 栄養価の少ない食事

など、健康を脅かす要因は減っていはいない。医療の進歩と共に死亡率が減少したものもある。

  • 乳幼児死亡率の低下
  • 感染症死亡率の低下
  • 各種死亡率の低下

などは、医療の進歩の成果である。そして、急速な平均寿命の伸びが達成できたのも確かである。しかし、これらの事実は健康で長生きな生活を保証するものではない。新たに生まれた健康阻害要因もある。そして、老化と共に必然的に生じる疾病もある。この高齢にともなる自然な疾病は減ることはない。疾病の克服は健康の保持・増進が重要なことである。しかし、健康阻害要因をすべて取り除くことは事実上不可能であり、日常からできる限り疾病の予防、健 康増進に取り組みながら、場合によっては病気との共存も認めるような健康観が表明されるようになってきた。

健康の定義

健康に関する定義で世界的に知られているのはWHO(世界保健機関)憲章の前文中にあるものです。

「健康とは、身体的、精神的ならびに社会的に完全に良好な状態であり、単に病気や虚弱でないことに留まるものではない。到達しうる最高度の健康を享受することは、人種、宗教、政治的信念、社会・経済的条件の如何にかかわらず、全ての人類の基本的権利の1つである。」

以上のことを簡単に言うと、単に病気や虚弱ではなく、身体的には体力値が高く、知的には適切な教育を受け、社会的には豊かな人間関係がり、精神的にも安定している状態ということになる。

現代の健康観

現在は複雑・多様化した社会のため、個人の健康観、ライフスタイルは様々なものになってい る。健康については目標ではなく、よりよい生活のための手段として考えられるようになっている。そして、健康は他に与えられるものではなく、個人個人が 日々の暮らしの中から年齢や体力、生活様式に応じて自分に適したものを獲得し、守っていくものとなっている。そのため、医学・栄養学・体育学・心理学・社 会学など、健康に関する科学を総合化し、それに基づく積極的な実践が必要とされる。このことから、健康の定義は以下のようにするのが現代的ではないだろうか。

「健康とは環境の変化に適応し、自分の能力を充分に発揮できる状態をいう。」

この基準をもとにすれば、すべての人は病気という概念があり、健康と病気の間には健康ともいえないが病気とも言えない中間状態、”半健康”状態があり、”半健康人”と言う言葉が生まれている。そして、半健康に対しては、栄養指導を含めた予防活動が重要であり、健康人には健康増進活動、病気の人には治療が必要となる。

健康とは何か」への1件のフィードバック

  1. 健康とは何か?
    「健康である」とはどういう状態なのか?と考えたとき、一人ひとりが自分なりの思いを抱きます。しかし、身体の仕組みやその機能にかかわることだけから考える、つまり生理学的に考えると、健康とは、毎日「食事をおいしく食べている」、「定期的に排泄がある」、「気持ちよく眠れていて熟睡感がある」という三つの最低条件全てを満たしていることです。
    「食事がおいしくて食欲がある」ようになるためには、朝から晩までの活動でお腹を空かせた様態、空腹感が必要です。足や手など全身の筋肉を使うことです。そのことによって交感神経が活発に働き、血液循環がよくなります。そして新陳代謝も盛んにな食欲が自ずと出て栄養状態も増します。すなわち、体力も免疫力も高まります。
     さらに、一日の気持ちよい疲れによって、夜には「熟睡すること」ができます。熟睡している間に、今度は副交感神経が優位に働いて、腸管の蠕動運動は活発になります。そして、朝には大腸内容物の増加により、その壁が伸展されて、巨大な蠕動運動によって「いいお通じ」があります。
     病気にならないように努めるには、日々の生活で自分なりの「快食」、「快便」、「快眠」の習慣を身につけて、養生するよに心掛ける必要があると思います。

        調布市 介護老人保健施設「グリーンガーデン青樹」
             医師 永井哲志

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