老化


活性酸素を撃退するこのビタミン・ミネラル

しみやしわ、たるみなどの老化現象は、年をとると出てくるものだが、これは遺伝や病気、喫煙、食生活などの環境要因もからんでくる。適切なビタミンやミネラルを十分にとれば、老化の原因に対処できると科学者らは考えている。

活性酸素のじゅうたん爆撃

ふけ込むのを早める病気や、加齢による心身の衰えは、活性酸素の絶え間ない攻撃が原因で起こる。活性酸素は、喫煙や慢性の感染症ばかりか、正常な代謝活 動でも発生する。朝食をとるだけで、膨大な数の有害分子がつくられる。発生を完全に避ける方法はない。
活性酸素は体内の正常な分子から電子を奪い、細胞やDNAを傷つける。生化学者は、個々の細胞は毎年1万回もの攻撃を活性酸素から受けていると推定している。
細胞へのダメージは、攻撃の程度と、細胞修復班の対応の早さによって異なり、突然変異を起こすものもあれば死滅するものもあると、ネブラスカ大学医学部 名誉教授デナム・ハーマン医博は言っている。心臓病や高血圧、パーキンソン病、がん、白内障、糖尿病、アルツハイマー病などは、これらの細胞の異常が引き 金になっている。
活性酸素が老化のプロセスに直接影響を及ぼすという説もある。ハーマン博士は、この可能性を示した最初の科学者で、「活性酸素こそ老化の原因であるとこコンセンサスが得られつつある。」という。
つまり、活性酸素による細胞が積み重なり、修復しきれなくなる状態が老化だという説だ。

天然の抗酸化物質の力

人間の身体は、活性酸素を消去するための酵素をつくっている。これらの酵素をつくる際にミネラルが不可欠で、銅、亜鉛、マンガン、鉄、セレンが必要となってくる。
必要量については、「すべてをバランスよく」とメリーランド州国立加齢研究栄養学研究室室長パメラ・スターク=リード博士はいう。とはいえ、最もよいバ ランスがどういうものかがまだ突き止められていない現段階では、「すべての必須ビタミン・ミネラルの所要量を満たすこと」が最善策だという。

体内の防衛軍に応援物質を

体内の酵素だけでは、現代人がこうむっている活性酸素の集中砲火に対処できない。身体はもともとたばこの煙や、こってりした食事、新型ウィルスなどによる絶え間ない攻撃に耐えるようにはつくられていない。
しかし、外から抗酸化物質を与えてやれば、防衛力は上がる。
研究室での実験によると、ビタミンCやビタミンE、β-カロチン、セレンには、酵素の追撃からのがれた活性酸素を消去する能力があることが認められたとハーマン博士はいう。
「最適な量は不明だが、ビタミンEは1日に200~400IU、ビタミンCは1日に1500~2000mgをとり、β-カロチンは2万5000IUを1 日おきにとるようすすめている。セレンを1回量50μgとして朝夕にとるといい」と博士はいう。
現時点で明らかなこともある。過去10年間に行われた50件以上の研究からβ-カロチンが豊富な食物を多くとると、がんにかかる危険性が下がることが示 された。ビタミンCにも同様の効果がみられた。抗酸化物質の摂取量を求めた複数の研究を検討したところ、β-カロチンやビタミンC、セレンが豊富な野菜・ 果物を多くとる人(全米人口の4分の1)の場合には、肺がん、口腔がん、食堂がん、胃がん、すい臓がん、子宮がん、膀胱がんの発現率が、摂取量の少ない人 にくらべて半数にとどまるという結論が得られた。
抗酸化ビタミンの摂取量が少ない人には、白内障や黄班変性などの高齢者特有の病気が多く、抗酸化物質をたっぷりとる人は、心臓発作の発現率が37%低いという研究結果もある。
「若いままでいられる時間を延ばしたければ、ビタミンCやビタミンE、β-カロチンが豊富な食品をとるべきだ」とボストンにあるタフツ大学ジーン・マイ ヤーUSDA人類栄養学加齢研究センター抗酸化物質研究所所長のジェフリー・ブラムバーグ博士はいう。赤や黄色の野菜・果物や未精製の穀類には、こられの 栄養素が豊富に含まれている。
「老化を遅らせたければ、マルチビタミン・ミネラルのサプリメントを毎日摂るように」と博士は言っている。

ビタミン・ミネラル目標摂取量

栄養素 目標摂取量
β-カロチン 25000IU
セレン(Se) 100μg
ビタミンC(アスコルビン酸) 1500~2000mg
ビタミンE(トコフェノール) 200~400IU

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