肥満


栄養素をとってスリムになる

全米のある調査によると、体重を減らしたいと思ったときには女性の84%、男性の77%がダイエットをするという。しかし、アメリカ人の肥満度は上がりつづけ、いまや国民の56%が太りすぎた。
では、あきらめるかというとそうではない。アメリカダイエット協会前理事の公認栄養士ジュディ・ドット氏は「正しい方法でダイエットをすれば成功します。」と言っている。

手を貸すのはマルチビタミン

健康的な食生活を送り、運動したうえでマルチビタミン・ミネラルのサプリメントをとれば無理なく体重を落とすことができると専門家は考えている。
ダイエット中の人は食事内容が悪いうえに無理な減食をするために、疲れが出て食べ物を食べたくなる。アメリカ肥満学会副会長のマイケル・スティールマン 医博は「人は心身の状態が悪いときには甘いものを食べて気持ちを高めようとするが、食べたあとはいっそう悪化する。心身をいい状態で維持するには、適切な 運動と栄養補給が必要だ。」と言っている。  たくさんのダイエット法があるが、ほとんどものはビタミン・ミネラルを不足させている。また、摂取カロリーを制限するダイエット法を用いると、それがた とえバランスがいい内容であっても葉酸、ビタミンB6、、マグネシウム、亜鉛が不足する。
ドット氏は、「カロリーを制限すると、ビタミンやミネラルが不足します。私は、ビタミンやミネラルは天然の食品からとるよう指導していますが、カロリー 摂取を1日1200kcal以下に抑える人には、各種栄養素の所要量を満たしたマルチビタミン。ミネラルのサプリメントをすすめている。」と言っている。
肥満の人は、ダイエット中ではなくてもマルチビタミン・ミネラルのサプリメントをとるといい、とアリゾナ州サウスウエスト肥満栄養センター所長ドナル ド・ロバートソン医博はいう。「過体重の人の多くは栄養素を不足させている。サプリメントをとれば、より健康な状態で過ごすことができる」ということであ る。
マルチビタミン・ミネラルのサプリメントの他にも、肥満の人の健康や肥満解消に役立つ栄養素があると専門家は考えている。

免疫を強くする栄養素

肥満の人が心臓病や糖尿病にかかる危険性が高いことは昔から知られてきたが最近では、肥満すると免疫力が落ちるとも考えられるようになってきた。免疫力 が低下するのは、ビタミン・ミネラル(特に抗酸化物質)の不足が原因だと考えられる。
ポーランドのワルシャワ国立食品栄養研究所が肥満女性102人を調べたところ、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンAの濃度が著しく低い人が多く、全般的なビタミン不足の人も多かった。
肥満の人はまた、ホルモンの異常があるため、正常体重の人より多量の抗酸化ビタミンが必要だ。重度の肥満の人の場合には、エストロゲンをつくる脂肪組織 があるためエストロゲンがふえ、テストステロンが減る。体内のエストロゲンが増えすぎると、女性生殖器のがんがでやすくなることが知られている。
ロバートソン博士は、「肥満の人は誰よりも抗酸化物質を必要としている。」という。博士は、肥満の人にはビタミンCを1000mg、ビタミンEを 400IU、ビタミンAを25000IU摂るようすすめている。いずれも所要量を大きく上回る量だ。ビタミンAは多量にとると毒性があらわれるので特に注 意が必要である。妊娠初期に1日1万IUのビタミンAをとりつづけると先天異常があらわれるおそれがあることを示した研究もあるので、妊娠可能年齢の女性 は注意しよう。妊娠している人は、ビタミンAのサプリメントをとってはならない。

クロムが有用

運動をする成人がピコリン酸クロムをとれば、筋肉をふやし、脂肪を減らす働きがあるとの研究結果がある。
ルイジアナ州立大学の学生59人を対象にした研究では、1日200μgのピコリン酸クロムを摂った学生は、摂らなかった学生に比べて、除脂肪体重の増え 方が大きかった。筋肉組織は脂肪組織よりも多くのカロリーを消費するため、脂肪組織が減った筋肉組織が増えると消費カロリーがふえて長期的にみれば体脂肪 が減る。
クロム不足の人にしかクロムは効かないが、現代人のほとんどは、所要量(120μg)の25%程度のクロムしか摂取できていないという。  クロムはインスリンの効果を高める。そのため、クロムは肥満の人に多い糖尿病を予防する働きがある。糖尿病の人は、クロムを使う前に医師に相談することが必要である。

亜鉛を確保する

亜鉛は小麦胚芽や魚介類、未精製の穀物に含まれるミネラルだが、カロリー摂取量を1200kcal以下に制限すると不足することが多い。亜鉛が不足すると、免疫力が低下し、髪の毛がぱさぱさになったり抜け毛が出たりする。
ロバートソン博士は、「髪の毛やつめ、歯ぐきに問題のある肥満の人には、亜鉛を1日20mg摂るよう勧めている」という。

ミネラルで差をつける

肥満の人(特に減量中)は、マグネシウムと鉄を不足させている。
マグネシウムは、心臓の拍動などほとんどの生理機能に必要で、ごくわずかでもマグネシウムが不足すると大きな影響があらわれる。特にダイエット中の人の場合、心臓に異常があらわれ、死に至ることすらあるので注意が必要である。
スティールマン博士は、「私は、減量中に筋肉のけいれんが起こる人にマグネシウムを処方しているが、マグネシウムには甘いものを食べたい気持ちを抑える効果もあるようだ」という。
低カロリー食をとる人は、鉄も不足させやすいが、閉経前の女性は特に鉄不足になりやすい。鉄不足の典型的な症状は貧血で、貧血は頭痛、息切れ、虚弱、心悸亢進、疲労を引き起こす。
ダイエット中はカルシウムも不足させやすいので必ず、所要量(1000mg)を摂取することは基本である。

ビタミン・ミネラル目標摂取量

栄養素 目標摂取量
カルシウム(Ca) 1000mg
クロム(Cr) 50~200μg
銅(Cu) 1.5~3mg
マグネシウム(Mg) 250~300mg
ビタミンA 25000IU
ビタミンC(アスコルビン酸) 1000mg
ビタミンE(トコフェノール) 400IU
亜鉛(Zn) 15~30mg

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